2022年2月2日水曜日

超絶技巧

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先般、パンデミックという特殊事情の中、ヴィヴァルディの室内協奏曲の演奏会で久しぶりに舞台で自身が演奏をしました。この時世に怖がり過ぎずにお出かけ下さったお客様には頭が下がります。また、通常と異なる状況や情勢に於いて、困難で二度と演奏したくない楽曲(←難しい)の演奏を聴いて下さった事も嬉しく思います。多分、二度と演奏致しません(←えげつない編成と楽曲)。

ヴィヴァルディの少し狂った、しかし他に類のない作品と多様性が秘められた作品群はリコーダー泣かせの連続です。しかも半分はフルートかヴァイオリンのパートの演奏でした。等と言いつつもこういう機会を下さる方々にも感謝です。自分では組み得ない演目です。


ロンドンで壁を見ながら、泣きながら練習したシャープ系の音階練習が実った瞬間でもあり、ロンドンの師匠に感謝をしつつ頭の中で「若い時に練習しておいて良かった」と演奏中に感じておりました。若い人とは言わず、うまく吹くには他の楽器に触らずひたすらスケールとタンギングを練習する事です。うまく伝授出来た弟子はまだおりませんが、誰かには伝授したいとも思います。



さて、宣伝しづらくキャンセルの方の連絡の連続。コロナによる苦痛も伴い、身体精神がボロボロになる予想は出来たので、当日の終了後は翌日の午前からの仕事に備え初めて(えげつなく安い価格で)心斎橋の日航ホテルにひとり籠りました。ほぼ15時間程、身体が①虚脱感と②燃え尽き症候群で機能しませんでした。(久しぶりに中途覚醒無く眠れ、翌日は朝から夕方までの仕事をこなしました)


プロはそういう仕事なのですから当然でしょうが、これにコロナ生活苦、介護と加齢も重なります。

特に加齢を感じたのはこの2年のブランクでしょうか。思えば、お客様もお弟子さんもコロナ前とほぼ変わりました。それだけコロナというパンデミックがもたらした影響は大きいものであると思います。勿論悪い事ばかりではありません。


完全古楽器による室内協奏曲の演奏は超レアでした


この世は表裏一体で、そのまま通常に進んでいたとてどうなっていたかはわかりませんが、一つわかったのは、忙しがる事無くコロナを冷静に過ごしていたら、自身の演奏力は確実にアップした事かと思います。

手前味噌な安い話ではなく、失意や非常に空いた時間があったからこそ冷静に技術を表現出来るようになったような気がするという話です。

多分、中堅のお坊さんが修行をしている時と、勝手にお経が唱えられるようになったそこそこ経験の長いお坊さんのフェーズの相違のようなものかも知れません。



結局、孤独な技術商売と全ては己のスキルアップに費やす人生ですが、確実にそれを感じ取って聴いて下さる方がおられる事に深い悦びを感じています。定年が無い分、死ぬ前まで続ける意義はありそうです。

コロナも多分13派位まで行くでしょうから、それぞれ元気なうちにもう動いておいた方がよろしいかと老婆心ながら思いました。医師によれば通常通りマスクと手洗いで十分だそうです。で、通常に戻る時には多分更に老いています。