2012年11月22日木曜日

男笑会




例えば、京都市立芸術大学の非常勤講師ではあるものの、いわゆる専攻楽器の教員ではないため、いわゆる門下生というシステムには縁が遠く、学生との距離にもそれ一定の距離が存在する。
音楽学部や音楽大学に於いては「レッスン」が全てであるためだ。思えば自分もそうでした。

しかしながらピアノや声楽、音楽学や作曲の学生の皆さんの受講する合奏等の教職課程の授業で出会う多くの受講生は紛れもなくモチベーション高めで優秀な若者達であることが多い。近年セメスター制度(通年受講ではなく、前期単位、後期単位)になり、なのに通年で履修をしようとする後期受講生にはその傾向が強い。

優秀な学生はレスポンスや集中力が高いため脱線もしばしながら、比較的この大学では敷地も広く校内でも目立たないため、ここ最近、授業の後に男子学生中心に学食でうだうだと談笑する機会を設けた。なんとなく集まったのだ。音楽を志す男子学生とまとまって話す機会は意外に少ない。

こういう世界は中堅になると即ち他はライバルであったり、はたまたベクトルの方向が大変異なる事が多く、正直真に心を許せるような同僚は皆無に等しくなる。家庭事情や音楽家としてのスタンスや実績、ロジックに相違が現れるためだ。ゆえに友人などは存在しにくく、仕事仲間にはなるが残念ながら金銭も絡む。至極当然な流れである。プロとアマの違いの大差がここにも見え隠れしよう。

それだけに音楽学部に於けるピアノや声楽等を専攻するという、かなりの競争を勝ち抜いて来て、学び、かつ次に向かうような優秀な学生と談笑することは意義深く楽しいひとときになる。
リコーダーなどのどちらかと言えば狭過ぎる世界から見れば大海原の話を聞くことも出来る。

話す内容はさておき、年齢は倍と半分程の差はあれど、心を開くと例えばガラスのハートの持ち主、強靭な精神、マイペースなどとパーソナルは様々なれど、一様にそれぞれに音楽観、はたまた恋愛観などがあり、話していてとても楽しいひとときである。
目からうろこな事、こちらの軌道修正になる助言に至るまで、なかなか有意義な時間になる。


これが性別が変わるとハラスメントや機関からの目などに異様に配慮しなければならず、少なからず気を使うものの、まるで男子学生気分で本当にうだうだと二時間程を過ごした。即ち己の音楽学部学生時代の生活を振り返りながら、「初心忘れるべからず」とあらためて心した次第です。

冷静に考察するに、完全にお父さん世代になっている自分に少々時間の残酷さを感じたのも事実。私が留学時代にロンドンで叩きのめされ、スケールからやり直しをさせられていた頃に生まれたような平成生まれ若者と話をしていたのですから。

大志を抱き、メチャもしろ!とアドバイスしておきましたが、結局はこちらがパワーを頂いた次第。
ありがとう。


せんせいもう少し頑張ります。