2014年10月14日火曜日

緊張と気の小ささを真面目と言う




さて、色々忙殺のなか、今日から二日間「ソウル国際リコーダーコンペティション」の審査員を
する。幸いにも日本で数年間、関西でのコンクール審査を経験させて頂いたので、演奏よろしく
抵抗感は全くないものの、責任感や少々の緊張(初めての状況)で何度も目が覚めるのが辛い。
韓国語はからっきしだが、デンマーク人と「英語」で乗り切れそうである。

迎えは8時15分だが、4時、6時、と目覚めるので、もう6時に起床してしまったので、寝不足。

プロの仕事とは「憂鬱」なものであるが、日の出と夕焼けを撮影するカメラマンに比べれば、
仕事とはそんなものだろうか、とも思う。これが予選と本線で2日間続くのだ。


当然、胃腸や骨盤のゆがみ、指の調子まで体調は万全を志すが、例えば、睡眠の導入材が効果
したとして、緊張で目覚めるのだから何をか言わんやである。
気が小さいか真面目かはご判断頂きたい。





さて、数日の滞在で未来思考のハナシもちらほらあった。

前回、ソウルで演奏の機会を得た折り、聴いて下さった愛好家の小学校の先生を職に持つ先生が、私の音色を気に入って下さり、自分のソウルの専門家の先生との共演でコンサートをソウルのホールで実現させたい、という申し出を受けた。来年の秋にホールコンサートが予定された。

非常にポライトな人格者ゆえ、その彼女の先生にあたる方も非常に清楚で品格のある女性。
ウィーンで10年近く学び、現在は本日行われる白石大学の芸術学部でリコーダーの講師を
しているそうで、昨夜第一会合が行われた。まだ30歳ほど。

また、先に挙げた愛好会の方の先生は来年早々に一週間の留学で私のお稽古を希望されている、とのことで、予定表を見せて頂いたのだが、毎日のレッスンをご希望。そのために来日されるそうで驚くばかりだが、ならば、と、たまたま日程の合う個人発表会にご出演頂く事にした。


縁が広がる瞬間に幸せを感じる。



先に記載した、台湾でのアジア唯一の大学プロフェッサーからのジャズ、即興指導依頼と言い、
今回はそれなりの「成果」を感じている次第。
実にアジアの大学にリコーダーの教授職を持つ人物は私より若いこの台湾人のみ。



私の事ばかりではなく、韓国のリコーダー事情の善し悪しは別にして、20年前辺りに日本に
似て、非常に高い次元で若い奏者が恐ろしく難しい楽曲に取り組んで、既に披露している。
事情は台湾に似ている。


日本の停滞と完敗を反省するまでもないが、こればかりは何の力もないわたしにはどうしようもないだろう。日本の聚落は工業製品だけではないのである。(演奏畑)

ただ、ポチポチと個人レベルではこちらに短期留学してくる人物と、特別講義でこちらが流出する機会が増えるのは確実だと感じる。





先日のコンサートで、代表として演奏した人物では、ついに最年長になってしまっていたことに愕然とし、また、50代のアジアは演奏よりは後進の育成に重きを置き始めている事もわかってきた。

バロックの研究を通せば、50になったとて、例えば、毎年開催してきたフランス・バロックの演奏会では、この年齢になってようやく見えてきた何か、があるので、演奏スキルは維持したいものの、なるほど、次世代が育成され、コンクールやフェスティバルが多い事に納得させられる。

しかし、正直言うと演奏レベルはタンギングからして決して高くない。それゆえよく身体を動かして間違った奏法を堂々と・・・。
また、愛好家の人数をいかに多く持つかを競っている価値観は全く理解しがたい。
時期にうまい若手に生徒が流失するだろう。未来を見据えれば自分のスキルを上げるのが良いとは私に主観である。


日本は全く異なる文化であり、それもまた、文化のスタイルなのだろうが、うちのお弟子には、
英語力と交流を今後更に高めて、少しグローバルに行動範囲を広げて欲しいと願うばかりである。
抜かれまくられているのは辛い実態と言えよう。頑張らねばなるまい。

要は、お金や権力ではなく、結局は個々、己のモチベーションなのかもしれない。