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演奏家の壁に当たりました。職業としてではありません。精神論です。
少し私の心境を吐露しますが、ここの所、「脳」で考えている事を100とすると、舞台でその半分程が表現出来なくなりつつあります。このフラストレーションは本人には相当ストレスになって来ています。言語中枢も音楽テクニックもです。瞬時に閃く装飾を処理出来ない0.5秒などが重なります。
自死をした桂枝雀さんの心境を調べてみようと思います。
多分、コロナで社会情勢も人間関係も変化したのでしょうが、舞台に於けるトークも演奏もそのストレスに苛まれています。まず、お客さまの反応が非常にわかならくなって来ました。勿論、素敵な拍手を下さいますが、そういうことでもありません。
長年共にして来た妻とのソロ楽曲の共演では、彼女はまだ理解をしてくれている方ですが、いわゆる杓子定規なテンポを守る演奏などはもう出来ないし、したくもない精神の開花だと思います。
ゆえに、元々嫌いな吹奏楽的なアンサンブルはますます嫌になりつつあり、多分、当時もそうであった、舞台上での己もわからぬパワーの表現をもっと!と思う感覚です。特にフレンチはそうです。インド音楽の即興などはトランスしますが、そこに芸術が見える感じでしようか。
ますます自分を追いやる方向ですから困ったものです。しばらく舞台を休むべきか。
こうなると音楽を聴く事を趣味としていた時代に戻り、週末や車内でベートーヴェンの音楽を聴くという行為を再開しました。彼の音楽、なかんずく弦楽四重奏楽曲は到達の頂点だと思っています。そして間違いなく天才です。そこにはもの凄いヒントが隠れています。
59歳、考えてこなかった「壁」です。
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