♪ リアルですので、小説としてお読み下さい。
先述、出張のために、愛犬ボビーを預けなければならないのは、仕事上、仕方の無い事です。
今日、出発前夕に帰宅した時に見た姿は、およそ生きる気力を失いつつある姿でした。
妻の実家に私が夜に届ける役目だったものの、慣れた自宅から無理から引きずり出して、
車に放り込んで強制移動させる事は、私ひとりには無理でした。およそ出来る姿ではありません。
既に実家に用事でいた妻に一時帰宅を頼み、ついでに訪れていた甥っ子の力を借りて、
何とか実現に至りました。
情けない事ですが、私自身がどうしても自分の気持ちに勝てない、現実を直視出来なかった、
ためでした。
途方に暮れ、まだ生きているのに、彼を抱いて泣き続ける事しか出来無かったのです。
愛犬はこちらの愛情を全て受け止めてくれる存在です。
11年の思い出も、多々あるのですから、その存在はこの上ないものだと思います。
帰宅した二人をきっかけにして、幸いボビーも感情と行動を見せ、尻尾を振って歩き、
少々の食料や水分を取ってくれました。
しばらくし、心を決めて、半時間程の妻の実家に向かいました。
ボビーは静かに、後席に妻とおりましたが、この期に及んで、老体を移動させるのはやはり
辛いものでした。見るのも辛い程。
実家ではとてもよく可愛がられており、ボビーはここでも感情を表しました。
実は覚悟はしているものの、ここからが本当の別れになる可能性が大きいわけです。
心が弱く、結局は現実を直視出来ぬまま、抱きしめる事もままならずに、いそいそと
車に向かい、帰宅をしました。
撫でるのが精一杯でした。
心の上下が激しすぎて、疲労して私がベッドの中です。
あすからの5泊、恐らく彼の身体は持たないと思いますが、仕事とは残酷なものです。
逆にとことん仕事に集中して、臨む所存ですが、何とか奇跡を望んでいます。
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